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あとの7割で冒険

「僕ひとつ助言しておくよ。7割バッターを目指しているでしょ?」
映画監督の行定 勲さんの映画が立て続けにヒットを飛ばした時、先輩監督の森田芳光さんから電話があった。
行定監督は「いやいや当たってなんぼでしょ。当たって次のチャンスをもらえるんで頑張ってるんで」と応えた。
だが森田監督は「3割でいいよ、3割にして...あのね、3割目指すとダメになるよ、あとの7割は冒険しな」と言ったそうだ。
気持ちの深いところでつながっている者同士の言葉だから人によっては感じ方が違うと思うが、私には直球で理解できる言葉だった。

私の過去の作品に「音相シリーズ」と「パーソナルシリーズ」がある。
音相は音を数値化したもので、当時の私は恐れも知らずそのグラフと数字を元に作品を描き、音相の創始者にプレゼントした。
それが「コマコ」。
川端康成著「雪国」のヒロインの名だが、これがモデルになった女性にそっくりであったことを知らされ驚いた。
探しに探すモデルの松栄さん。
音相の創始者は小説の舞台となった越後湯沢の雪国館で見たというので、まず役所に問い合わせてみると、松栄さんが亡くなり再婚した相手も亡くなった直後で肖像権が誰にあるかわからないため「雪国館」の松栄さんの写真も撤去されたという。
それでも数値化したご本人からお墨付きを得られたのは間違いない。
その後、松栄さんの写真を見ることができて納得がいった。

松栄さんとコマコさんは名が違う。それではなぜ私は描けたのか?
私の解釈はこうだ。
川端康成氏は松栄さんの中からヒロインの特徴を選択し、最も適切な名前を付けた。
音相はそれを正確に分析し数値化したからこそ私は松栄さんを再現することが出来た。

このふたつのシリーズは全部で8作品ある。
ひとつひとつにエピソードがあり関わりのあったご当人たちから根拠のある評価をいただくことが出来たシリーズでもある。
初個展で最終作に感謝の言葉を得たその直後、
「パーフェクトだね」
好意的で温かな言葉だったが、その時言われたその言葉が私の脳に突き刺さっていることに、今気づいた。
完成度の高さを目指すのは間違いではないと思う。
しかしパーフェクトと認められ、知らず知らずにパーフェクトを目指す私に冒険の余地はあったのだろうか。
自分を限定させるな、冒険しよう。
表現は自分の関知しないところでも息づいているのだから。
〈参考サイト〉
行定 勲
森田芳光
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